なにやら妙な研究してる・そういう噂~環境科学&農生態学系物質循環研究者の日常~
 日食の集まりで開発機材を見せると、工業技術系の方から農業IoTやICTの関係でやってるの?とか訊かれるが、私は肥料資源関係なので関係ないんですよ、と何度か答えている。逆にそれくらい身近に存在するものになっているのだろう。Facebookには既に農業者の方中心のDIYなスマート農業(スマ農)のグループがあったり、企業も参入しているが企業の作る仕掛けは高価、オーバースペックという評価がされるまでになっている。ずっと以前にもイネの草型判断をコンピュータにさせようとかあったけど、その後の様々な技術の進展とセンサーの省電力化等の進展が篤農・名人の技術を見える化するというモノに落ち着きつつあるようだ。
 この辺のハードウェア的な話もあるが、先ずは道具の置き方や果樹のナンバリングなどで痩身という意味での作業のスマート化から話が載っていたのには、納得がいった。キラキラだけではない地味さにもきちんと気付いている事であり、実はこの辺から変えていくことが重要なんだな、と。昔読んだ林業本で収支上の成績が良い会社のハードウェアにほかの会社の人は目が行っているが、肝は現場の方々に、日当ではなく月給(固定給)や有給休暇の整備といった処遇改善があって初めて成り立ったのに、残念、という話があった。見える化・情報化というけど、どう制御につなげるか、どう自動化するか、といった事は全てソフトウェア的な問題。単純事例紹介だけではなく、ソフト面をもっとうまく書いて欲しかった感はある。といっても新書という一般書では本書にあるような、夢や将来をくれそうなものにスポットを当てていく方がウケて良いのだろう。
 本書では往々にして余所者や並ではないその世界で異質な考えを持った営農者が主人公となっているのは良いことだけど、園芸作物・集約型農業と6次産業化が基本になっているのが、ちょっとなー、と思ったところもある。お米をはじめとする日本人の主食は土地利用型農業であり、これを賢さという面でどうスマートにするかが問題になっているのが現在だと思うのだが。まあこれも2020年の地平と言う奴なのかな、と思う。またはもっとアナクロな、農家の母ちゃんも銀行通帳を持とうという運動やら、問題も有る訳で…この差はデジタルデバイドどころの騒ぎではないと思う。本書とはまた異なる世界故、載せるにはもっと問題が出るか。

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【2020/05/05 11:25】 | 本・読書
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