なにやら妙な研究してる・そういう噂~環境科学&農生態学系物質循環研究者の日常~
 底生生物=ベントスと言うと日本生態学会で長く細く続いているグループというか講演のコンテンツの一つであり、結構コアだ。生態学の鬼門と言われる物質循環と大抵同じ日程と時刻(=10余年前だと最終日の最終セッション、最近はポスターばかりでイマイチ)にやるのでなかなか聞きに行けなかったが、学会の端っこの者と同士だからかなんか通じるものがあるのか、聞きに行きいと思うこと数多。
 という事で何かと気になる所に弩ストライクなのが本書だ。本書は淡水域ではなく、沿岸域~深海底の話であるが、こういう日の当たらない世界こそ、生態系の機能として重要だと思うのだが、言うと何だけど私が院生だったころから判ってきたことはあるけど、地続きのようにその機能が定量的に示されるところは非常に少ない(本書で東京湾の水質改善への寄与が触れられていた程度)という現実を見ると、まだまだこれからの研究分野なのだと思う。
 多く述べられているのは、底生生物の住み方、巣穴とその中での生きざまとしての生態、共生関係、どんなものが居るか…それらの日常生活はそれだけでも面白いが、(危険なのであまり勧められたものではないが)荒天時は?(これは知りたい)震災前後では?と言ったところに言及しているのはとても興味深い所である。おそらく震災の後が死の世界ではない事はそこらじゅうで海底乱泥流が起こっていることから、想像されたが、こうして情報が与えられるととてもありがたい。

 深海を二酸化炭素のごみ箱にしよう、という暴論があるが、そんなことをしたら当然ベントスは全滅する。更に嫌気的になればどんなことが起こるか?は好気的環境に未曽有の環境影響になる事は予防原則を越えて想像がつく。私でも強い硫酸酸性の水塊の発生、好気的な水域の浅層化、今東京湾で起こるのと同じ硫化水素リッチな、または無酸素な水塊の発生、そういった危険性や喫緊なモノとして発生するであろう問題、これは硫黄の問題は黒海を見れば簡単である。そして炭素循環的には未だフロンティアである事は、本書で定性的に生き様の生態はは分かってもマスとして穴だらけの海底がどれだけのモノの流れ=マテリアルフローを提供しているかが東京湾という様々な環境科学てきな研究がされてきた場所を除くと浅海でも量的に=定量的にわからないことから明らかである。

 海は広さより深さに惹かれる口には垂涎の話であった。

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【2020/03/15 13:26】 | 本・読書
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