惑星気象学入門――金星に吹く風の謎 (岩波科学ライブラリー) (2011/08/26) 松田 佳久 商品詳細を見る |
金星・地球・火星の大気と気象を比較を交えながらその風の吹き方について解説し、木星型惑星では木星を主に土星・天王星について解説する。最後に少し難しい理屈(基本的な情報が出ているようで出ていないので完全理解は厄介)になるものの、金星に戻ってその大気の流れの強烈さがなぜ発生するかを解説してくれている。
木星は見る年によってその縞模様がずいぶんと違って見えるし、火星の嵐は視認したことはないものの激しさは写真などで見てはいる。そういうものの驚異的な自然の力を実感するのが第一歩だとしたら、その理論を知ろうというのは自然な成り行きかもしれない。もちろん、すべてが解っているわけじゃなく、謎は深まるばかりだけどそういうバックボーンをもってまた惑星を見るのもまた乙なものになると思う。そういう知識を与えてくれるという面でとても面白い本だった。
天気予報も当たらないのに他の惑星のことを研究してどうなるってのは、夢のない人の言うことだね。
何年か前に発表した地球惑星科学連合では、ALMA計画の展示のところで、可視光に比べてどれくらい深く木星を見れるのか?と話していて訊いて答えに窮されてしまったけど、でもあの電波望遠鏡を使うことで木星の立体的な大気の流れが見えるなら、それは惑星気象学の重要な情報を提供するに違いない。
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