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「大人の教養として知りたいすごすぎる日本のアニメ」岡田斗司夫(KADOKAWA)

 岡田斗司夫氏はガイナックスを立ち上げたり、インターネット黎明期にはオタク大学というHPを立ち上げていたりする、「オタキング」とも呼ばれていたようだが、「オタクはすでに死んでいる」(新潮新書)で、この世への一種絶望と嘆き、自分自身に冷笑をするような終わり方の新書も書いていた。一方で若年者向けの「世界征服は可能か」(ちくまプリマー新書)で、中々楽しい話も書いていた。
 本書はアニメ(とマンガや特撮)に関する常に温かい目をもって愛を語った優しい良い大人として名作を愛でて行く話だ。良い面を前面に出していくから、確かに本書は優れた案内書であり、解題書であると思う。「風の谷のナウシカ」の漫画連載の休止理由もアニメを作っていたから…というのは、私にはちょっとひいき目どころじゃないな、と思ったし、1stガンダムに関しても人の好い所を出しているが。そうなってくると、本書で扱いつつ私の見ていない「シン・ゴジラ」、「君の名は。」、「この世界の片隅に」もちょっと贔屓目すぎるかもなぁ、と思ってしまう。

 先ずナウシカ。休載はアニメの制作時期とシンクロしているようだが、2回目の休載には私は冷笑を以って応えよう、「話の風呂敷ををデカくし過ぎて解決できなくなって墓穴を掘ってどうしようもなくなったのだ」と。話としては、蟲(頂点に王蟲…辞書に入ってるんだ…)と火を使う人間の頂点としてのアスベルが居て、両者の相利共生を実現する中心にナウシカが居る、という構図が浮いていた。だが、遺伝子組み換え粘菌とか出してきて人間の業を描いて、自分には蟲も人間も大切でどちらかを選ぶことはできない、と言っいる。そこに共感を覚える人は多いだろう、多分。だが為政者に必要なのは邦人保護である。風の谷の市民を守るのがナウシカの本来の出自なのだが。そう思わない人は横田めぐみさんに代表される北朝鮮の一部活動家の仕業を非難してはいけない。本書で原作のエンディングを読んで、上手く大ぶろしきを破ったね、とだけしか思えなかったが、どうだろうか?某G大のI教授はもののけ姫で多少は反省したよ、と言って居たけれど…。勿論、トトロやラピュタは名作だと私は思うが、背伸びすると痛い目を見るよね?というのが私の宮崎駿氏の限界に思える。
 1stガンダム世代の私だが、これにもちょっとな、と思ったのは、成長するのか?と思えたが、ニュータイプという異世界に飛んでしまう。ララア・スンとの精神対話は良いのだが、キャスバル坊やがいけないのだ、じゃなくて、失ったものの大きさがイマイチ鈍くなった感を覚えずにいられなかった。打ち切りでなければどう終わったかを知りたいが、疑似家族からニュータイプ、再度疑似家族に戻っていく中に発信される「母性」による包摂、という組み立てはなんかなぁ、と思わないでもなかった。今考えても当時でこれって、生意気なガキだったか?自分。若さゆえの…でも今もどうかと思う。

 随分辛らつに書いてしまったが、いやいや、愛を以って語ろうよ、という岡田斗司夫氏を攻撃する気はない。「世界征服~」で氏が語ったように、結局独裁者になってもプラネタリーバウンダリーを超えられない温室の中では、如何に個々人を富ませ、多様でそれこそ友愛に満ちた平等な地球社会を構築することに心身を割かないといけない、とまとめているのを見ると、こういう博愛的に愛を語ってまとめるのは氏にしか難しいのかもしれない…そんな思いを持った。これが実は自己愛の発露ではなく、公に開かれているのだし、オタクが死んで残ったものをきちんとまとめているのは流石だと私は思った。

 アニメ大好きで育ってきたけど…私にはこれだけの愛を筋道持って語れるのは何かなぁ?

theme : 読書メモ
genre : 学問・文化・芸術

プロフィール

M氏

Author:M氏
食・農・肥料にまつわる物質循環と環境影響について、ヴォイニッチ手稿みいな暗号・謎の世界をを解いていくことに喜びを覚える科学者の一人。
 謎な生態、日々の私生活と研究生活、そして何気に読んだ本のことや日食観測者としての活動状況等々、書き綴っていきます。


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