なにやら妙な研究してる・そういう噂~環境科学&農生態学の物質循環研究者の日常~
未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる
(2013/06/12)
ちきりん

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 働き型本からはいって、長い人生の長い間を一つの仕事(会社)だけで生きていくのはどうか、と問いかけ、コース旅行から個人旅行に乗り換えるように、自分が主体的に考えて働けるところというのを考えてはどうか、という基本的な考えをもとに論を展開している。
 趣味なし人の趣味、と言われる読書と旅行は私も趣味だが、妻に言わせると日食に入れ込んだり、星の写真に入れ込んだり、そういう中で人とつながったり、という広がりが持てるのがうらやましいという。そんなに趣味を広げることが難しいことだろうか?と私は思うのだが、そうでない人というのが存外に多いということを、本書は前提に書いている。
 もっと自分に本質的に、自分を市場化する・・・という論も分からないでもないが、それは僕たちはガンダムのジムであるにおける、スペシャリティのあるMS・・・ガンダム、ガンタンク、ガンキャノンの見方であり、2:6:2なり3:7の法則の最初の2か3ならそれで正解。でも社会・会社は成り立たず、それで補えない部分を引き受ける6や7があって初めて2や3が生きてくるのだという方が、凡庸な(だけどポスドクを募集しても希望者のいないテーマを受け持つ)研究者である私にも理解しやすいし納得もいく。
 ただ、趣味にしろ給与を得る手段にしろ、複線化していくのがいいんじゃないか、という考えは先に読み終わったゴミ情報の海から宝石を見つけ出す これからのソーシャルメディア航海術 (PHPビジネス新書)と同じで、やはり納得のゆくところだ。研究は確かに面白い。どんなに苦労しても、論文一本通るだけで随分と救われた気になる。それは世界への問いかけであり、回答である。その場に居合わせられる価値の大きさを感じるし、数のみならずインパクトファクターという数字で定量的に評価できる。
 でもそれだけで終わるのは楽しくない。やはり、何か入れ込めるものが別にあった方が、相乗効果が出るから。それを私は趣味で当てているというだけだ。それを市場化し仕事にしようというのが職務専念義務(副業禁止)を無視した本書である。市場化だけに目を向けるのはどうよ、と私は思うというだけで、まずはお気楽にできることをしようよ、と思うのだけど。それも難しい人がいるというのは、この社会の病理だなぁ・・・

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【2014/03/31 19:29】 | 本・読書
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