なにやら妙な研究してる・そういう噂~環境科学&農生態学の物質循環研究者の日常~
科学の限界 (ちくま新書)科学の限界 (ちくま新書)
(2012/11/05)
池内 了

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科学は巨大化の一歩を辿る一方で、市民のための科学がもっとあってもいいのではないかと言う話。池内氏自身の新書のような軽い一般教養系の話への登場は、結構遅かったのだな・・・そんなことをあとがきを読みながら思ったが、あまり関係ないか。
 当初は科学の肥大化に懸念を示すような話になっていたが、じゃあALMA(アタカマ砂漠にあるミリ波・サブミリ波電波観測施設)はどうなる?とか意地悪いことも思ったりしたものだ。軍事関係に割かれる割合の多さも問題視するが、この辺も割り切れるものではない。寧ろ軍事関係の方が市販品の積極利用に寄る低コスト化・・・アンドロイドOSを使った歩兵支援端末、Windows2000で動く原潜など・・・COTSという市販品の積極利用が進んでいるのを踏まえれば、或いはGPSをはじめとする軍事技術の民間利用の状況をみると、問題は科学が縁遠くなったことが根本的な問題であって、方向性はそのあとの意識の問題だと思えてくる。

 変動する太陽の直径を測る、コロナからの質量放出、といったことにまだまだ天文アマチュアが寄与できることはあるのだということを先日確認したが、本書でも論じられるアマチュアと言う目の多さを使った環境調査などはもっと広まっていいことなんだろうと思う。

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【2013/02/28 20:41】 | 本・読書
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