なにやら妙な研究してる・そういう噂~環境科学&農生態学の物質循環研究者の日常~
データで検証 地球の資源 (ブルーバックス)データで検証 地球の資源 (ブルーバックス)
(2011/12/21)
井田 徹治

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 多量に必要なエネルギー資源や鉱物資源、希少金属(ハイブリット車には山と使われ、廃棄されているが)、食糧と行ったものに関する、今の時点で判っている各種埋蔵量と今後の消費動向に関する情報を、どちらかと言うとブレーキをかける側の考えでまとめた本。データで検証!地球の資源ウソ・ホント―エネルギー、食糧から水資源まで (ブルーバックス)を更新し、さらに発展した話である。教養としての資源問題 ―今、日本人が直視すべき現実で、「資源は呪い」という現実をどちらかと言うと人文系経済の考えで希少資源に関する話は読んでそれはそれで勉強になるけど、資源と言うのは誠に多くあるので、どうもモノ足りなかった部分が見事にカバーされていたので有難かった。
 前著に比して、気候変動の影響を強く受けている現在、そして多く使うようになった希少金属などの希少資源を日本で言う湯水のように使う現在に、警鐘を鳴らすこの本の筋には私は同調する。懐疑論が日本ではそれなりに言論に上がっているようだが、頑健な食糧供給を行うのには温暖化しようが寒冷化しようが多大な影響を日本は受ける。寒冷化するのだから温室効果ガスは多くあっても関係ない・・・というのは早計、全球モデルで示される2-3世代で起こりうる気候変動の揺れ幅をより大きくすることにつながる。
 ただ、池内了氏の言う地下資源依存ではなく地上にあるものを効率的に使った社会、と言うのも、出発点の一次生産ではほぼ必ずリン、続いてカリウム資源の量が効いてくるのを考え(第一制限は窒素だが、これはマメ科が大気から固定してくれる)、かつ鉱物資源で最も早く枯渇が心配されるのがリンだということを考えると、なかなかに悩ましいと思う。このリンの利用の効率化と資源ガバナンスには少なからぬ興味が、私にはあるので。

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【2012/02/29 18:16】 | 本・読書
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