グリーン・エコノミー - 脱原発と温暖化対策の経済学 (中公新書 2115) (2011/06/24) 吉田 文和 商品詳細を見る

　必要なのは経済成長ではなく経済発展である、という強い芯に、脱原発をしつつ次に必要とされる社会とはどんなものであるのか、を定量的・定性的に論じたなかなかの力作。その中では豊かさの形も変わるだろうし、産業構造も変わらずにはいられないことになる。特にエネルギー政策において、必要なのは規制緩和や独占体制の固持ではなく、社会的制約を国家主導で行うことである、という話がきちんとした海外と過去のレビューから導かれていることは、非常に興味深い。
　これまでとは違う国家経済と国民のよりよい生き方、そういったものを考える上で、基盤的な考えを提示していることには高い評価を与えたい。