世界はデザインでできている (ちくまプリマー新書) 秋山具義

 ロゴやインダストリアルデザインの考え方やそんな職業を目指すなら…と言う話。このレーベルのターゲット層からすればありな話だけど、もう少し踏み込んで書いてもらえると嬉しかったかな?

 これまで職場関係のロゴは職員コンペが基本だったのだけど(凄い職場かも?)、外部に頼む、というのはどういうモノかと思って居た。あるプロジェクト研究でロゴマークを作ろう、という事でデザイン事務所に依頼して、色々な柄物を見せてもらったことがあるけど、本場モンのデザイナーさんは、当然だけど違うな~って、思った。漫画のタイトルロゴも漫画家さんではなくデザインラボにお願いすることがあるとも聞いていたけど、その手の筋のある話に如何に話し合い、算段とか、どういう方針で?という事も踏み込んでほしかった。

 インダストリアルデザインという事では、社内事情から色々あった話の読める、「デザインが日本を変える 日本人の美意識を取り戻す」前田育男(光文社新書)の方が血肉を感じるのだけど。本書はちょっと温度が足りないかな?

テーマ : 読書メモ
ジャンル : 学問・文化・芸術

上皇陛下からわたしたちへのおことば (双葉文庫)

 私自身はそこまで天皇家というモノに何らかの絶対的な好悪がある訳ではない。「戦争を終わらせてくれた、裕仁天皇は恩人」とかいう人に「当時の統治者・最高意思決定者として太平洋戦争を止めなかった理由は?」と逆に問うし(毒を以て毒を制すべく東条英機を首相に据えたことが失敗だった、と私なら答えるが、「それは別の話」という人しか私は知らない)、今の日本国民に比しても何周も先を歩んでしまった事が悲劇の始まりだったことを、追いつけない自分の稚拙さに忸怩たる思いを持ったりする程度である。
 困難な時代を生きた裕仁天皇の帝王学を継いで、別の形の帝王学を持って国家の象徴を務めるとはどういう事であるか、を如実に示し解題したのが本書である。成程、天皇制が無ければどれほど荒んだ世の中になるか、個人の断絶と社会的階級がより恐るべき暴力をふるう事になるか、という事が良く解る。上皇陛下には申し訳ないが、「君臨すれども統治せず」と言えるほど国民のレベルは戦前から変わらず未熟です、と言うしかないか。
 もう一方で代替わりによって今上天皇がどのような挙動を見せるかを見る時の定規となるのが本書でもあると思う。平成のおさらいに良いかな?

テーマ : 読書メモ
ジャンル : 学問・文化・芸術

武器の世界地図 (文春文庫 2015)

 ふと思い返してみると、私が小学生の頃って、結構テレビで軍事モノを見た覚えがある。爆弾を据えたりロケットランチャーを下げたF-1支援機、ASM-1の命中精度はアメリカのその道の人出もびっくりとか、通信ワイヤーを繰り出しながら進むMk.48魚雷、半径20mくらいの精度で自位置が判る80Lくらいありそうな背嚢を背負って移動する米軍兵士(勿論、当時はGPSもLi-IONバッテリも無い。ナブスターかその前段のモノをニッカド電池で動かしているのだろう)…といった事を今も思い出す。プラモデルも軍事モノが一番充実していたと思う(余り作らなかったけど)。中学~高校の頃には科学雑誌でも結構取り上げられていたし、大学院に入った辺り少しずつ関係書を読んではいたけど、本格的に軍事モノを読むようになったのは博士号を取った後頃だと思う。色々あったが、原爆開発にコミットした「後の後悔先に立たず」のA.アインシュタインはじめ様々な科学者が、積極的・消極的にかかわらず、戦争に参加・寄与するのは如何か、そのメカニズム・発想とは何ぞや…と言う事と、ともすると自分の研究も外交と言う平時の血の流れない戦争の中にある事を感じ取ったからだ。
 そんな中で軽いモノとして選んだ本書だが、…まあ、技術的に如何とかかなりツッコミの浅さが気になるが、致し方ないと思う。何か取り掛かりとして時系列で並べて物語を読んでみるなら、悪くはないかもしれない。或いはフィクションのお供的なモノになるだろうか。事の常として、兵器・武器世界の一アイテムであっても、紐解けば「潜水艦~その回顧と展望」「駆逐艦~技術的回顧」(共に堀元美)のような大全のある世界がある訳だけど、そこに飛び込むかどうかは不明。後は、少々ヤバくないかこの書き方、って事も目に付くこともあり、悪いが本書の信頼性を損ねないぞ?とかあったけど。
 ごく軽いフィクションなら何かの足しになるかもしれないけど、どちらかというと毒に近い本に思えないでもなかった。

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ないもの、あります(クラフト・エヴィング商會・ちくま文庫)

 世の中で良く言うけど現物を見たことが無いモノとその商売文句が次々出てくる小話の集まり。例によってのクラフト・エヴィング商會本らしい、一本ヤラレタ!と思う売り文句と着眼点に笑いつつ唸らされた。思い切り無粋な物言いをすれば、「金字塔」は「ピラミッド」の和訳だと「少年・卵」(谷山浩子・サンリオ)で小ネタにしたり、確か「白鯨」(H.メルヴィル・新潮文庫版)にもあったなぁ…と言う話はあるが、いやいや、そこからどう虚構を盛り上げて「金字塔」に賛美を送るかというのが、科学物書きに突き付けられる命題か!!と思い知らされる。それくらいに著者コンビは味わい深く盛り上げてくれている。
 アマチュアはごくたまに満点の写真を1枚上げればよいが、プロカメラマンは80点をコンスタントにどんな時でも出さないといけない、と言うが、実に、クラフト・エヴィング商會のクオリティの高さをずっと保持できている秘訣は!?と思えてしまう。
 味わい深く読めた、優れた本でした。

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「Kawaii ★ 電子工作」 池上恵理 (オーム社)

 絶版だが、「テクノ手芸」(テクノ手芸部・ワークスコーポレーション 2010)という本があった。布などの柔らかい手芸品と電子工作のコラボ物である。単純にLEDを光らせるものから、その頃割とあったPIC(Peripheral Interface Controller)やArduinoといった制御用マイコン(マイコンピュータとは言わないが、どうもマイクロコンピュータ、と考えてしまうがマイクロコントローラが正しいそうだ)の簡単な使い方まで言及した、手芸品・ちょっとした~手の込んだおもちゃの作り方が書かれていた。
 これを見て、ひらめき、別の本を教科書にPICを使って嵌りつつあった皆既日食という現象を見る事に加え、デジタル一眼レフによる皆既日食の自動制御による撮像(初戦は2013年のアフリカ金環皆既日食)という沼に落ちたのだった。
「テクノ手芸」からすると、本書はずっと入門書で、初めて半田ごてを握る人(女性)を想定した本で、マイコンも使わなければ、音こそ鳴るけど、振動で光る、近づくと点灯する、圧力で色が変わる…とはいえ、あまり動的な作品は登場しない。そういう意味では個人的には失敗した?と思わないでもない本だった。けれど、最初の最初はこれ位だよね?って言われたら、その通りだと元ラジオ少年は思う。最後の方にマイコンを使うともっと色々出来るよ、と書いてあるが、ほんの触りだけで、具体的な指南書がある訳でもなかったのが、なんか残念。或いは応用問題として、自己点滅LEDを使ったらどんなことが出来る?なんてのも良いと思った。やはり、動と静の組み合わせとか、なんか動きがあった方がイイと思えてしまうし、嵌るなら、これ位は…と思うのだけど。

テーマ : 読書メモ
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プロフィール

M氏

Author:M氏
食・農・肥料にまつわる物質循環と環境影響について、ヴォイニッチ手稿みいな暗号・謎の世界をを解いていくことに喜びを覚える科学者の一人。
 謎な生態、日々の私生活と研究生活、そして何気に読んだ本のことや日食観測者としての活動状況等々、書き綴っていきます。


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